私は学生の頃から人とのコミュニケーションに苦手意識があって、今もパーティーで雑談したり、会議で発言したりするのは本当に苦手。語学の勉強は好きだけど、いくら知識をつけても、結局は「何を話していい分からない」というところで躓く。
過去に「話し方」の類の本は何冊も読んできたけど、今回はちょっと趣向の異なる本を読んでみたので、備忘録を残します。
田中泰延
『会って、話すこと。』
会って、話すこと。 自分のことはしゃべらない。相手のことも聞き出さない。人生が変わるシンプルな会話術 [ 田中泰延 ] 価格:1,650円 |
テクニック的なことではなく、もっと本質的なことが書かれているという触れ込みに惹かれて買ってみました。エッセイ風な語り口で、ジョークもかなり織り交ぜられていて、一人で何度もクスっとしました。一般的なビジネス書のように要点が綺麗にまとめられている構成ではないですが、読み物として普通に面白かった。
本書を読んで、心に残った言葉、心に留めておきたいと思ったことを2つまとめます。
機嫌よく生きる
機嫌の悪い人は苦手です。周りの人の機嫌が悪かったり、独り言や第三者に向けて怒鳴ったりしていると、本当に心が苦しくなってしまいます。みんなそうなのか、私がHPS(繊細さん)の気があるのかわかりませんが、機嫌を損ねると自分も周りにも悪影響なのは間違いないと思います。
本書の中にこんな言葉がありました。
あなたができる最も身近な社会貢献とは、よい言葉と良い笑顔である。
おとなが口を開くのは、自分の機嫌をよくするためで、それは他人の機嫌も良くする。それこそが社会貢献なのだと覚えておこう。
機嫌の良さも悪さも伝染します。自分が機嫌良くいることで、自分の周りの人たちも機嫌がよくなるもの。自分が先陣を切って良い雰囲気をつくっていきたいものです。
会社で自分の機嫌や怒りをコントロールできない大人たちに出会い、「自分の機嫌は自分でとれる大人であろう」と、自分を戒めてきました。それでも年を取るにつれ、「ああ、今機嫌の悪さ出ちゃってたな…」と反省することが増えてしまった気がします。
本書を読んで、いつも機嫌の良い大人であろうという気持ちを新たにしました。
真に教養ある人物とは
私の理想の自分像の一つとして「教養のある女性」があります。昔から何となくそんな理想像を描いて、いろんなことを勉強したりしてきましたが、「教養がある」の定義はあいまいでした。
本書の中にこんな記述がありました。
「教養のある人物」を私なりに定義すると、向かい合った時に
「私は何も知らない。世界はこんなにも広くてわからないです。そして我々は最後は死んじゃいます。なので今、少し笑いましょう。」
と感じさせてくれる人ではないだろうか。
これが私にはしっくり来たんですよね。
多くの場合、人との会話で大切なのは、お互いの課題を解決したり、何かを与えたりもらったりすることではなく、一緒に過ごしている今、この時を楽しむことなのではないでしょうか。
無知を知り、世の無常を知り、その上で今を楽しむ。そんな大人になれたら素敵だなあと思いました。悟りを開くレベルでかなり難易度高いですが…
広くたくさんの知識があることはもちろん大切で、本書でも別の章で「会話のベースは知識にある」と語られています。
知識を広げつつ、人との会話では、一緒に過ごす時間を楽しむことにフォーカスする。そんな「教養のある人」を目指していきたいなと思いました。
最後に
この本を読んで、特に機嫌よくいることを意識して過ごしてみたら、イギリス人の夫に「なんで最近そんなgood moodなの?」と聞かれました(笑) これからもgood moodで過ごしていけたらいいなと思っています。
会って、話すこと。 自分のことはしゃべらない。相手のことも聞き出さない。人生が変わるシンプルな会話術 [ 田中泰延 ] 価格:1,650円 |
コメント